天狗山荘→不帰ノ瞼→唐松岳→五竜山荘

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3時に起きて真っ暗の中でテント撤収作業に入った。

風が少し強かった。

だがしかし、行かねばならない。

ここまではほんの序曲にすぎないのだ。

不帰ノ瞼を超えるときが静かに、しかし確実に訪れようとしていた。



わたしは小屋の前にしつらえられたテーブルに座ってアルファー米に湯を注ぐ作業に取り掛かっていた。

朝食はソイジョイ一本をかじっただけだった。

アルファー米は途中で食べるつもりでいた。



空が明るんできたころ、わたしはザックを背負い歩き出した。

途中、風が強く、合羽のフードを紐で括り付けなければ進めなかった。



しばらく歩いていると天狗の大すべりの入口に辿りついた。

いかにも危険な場所へやってきたかのような空気があった。

わたしは天狗の大すべりを恐れていた。






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天狗の大すべりは長かった。

霧のせいで下の視界がなかったのは恐怖心を取り除いてくれた。その分長く感じた。

急な坂をジグザグに下るので危険な箇所はなく、終わりなき道を進む感じは半ば地獄へ降りていく心境だった。

途中で長い鎖が出てくるが下りなので簡単だった。






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天狗の大すべりが終わりかけた頃、突然霧が晴れてヤツが姿を現した。

不帰一峰だ。

この急展開はやる気を一気に持ち上げた。





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吹き付ける風はないが、気圧が大量の雲を移動させた。

さっきまでは霧の中に居たのに信じられない光景を目にした。





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不帰一峰は大したことはない。

岩の上を渡って歩く。

途中で道を間違ったりもした。

向こう側に不帰二峰の一角が見えていた。

一峰の頂上に到着し作ってきたアルファー米で朝食とした。

登山者は一人ではなかった。

有名な山なので早朝でも数人居た。





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不帰二峰、とうとうその姿を目の前に現しやがる。




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振り返れば天狗の大下りが光に照らされていた。

霧の中を降りてきたのが信じられないが、あそこを登る人の気がしれない。





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不帰ノ瞼を登ろうと考えるとき、写真を見て難易度を判断することになるのだが、なかなか拡大写真が手に入らないので大変困っていた。

それが実際に登山計画を長引かせた要因でもあった。

上の写真はクリックすると拡大になるが、ちょうどこういうヤツを見たかったのだ。

でも、これはあまり言いたくないのだが、想像より簡単に登れる。





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よじ登っている途中で写真を撮った。

崖から見下ろした恐ろしい写真を撮ってやろうと企んでいたが、とてもそういう心境にはなれない。

上の写真を見ると誰でも登れる気がしてくる。

これを公開していいかどうかは悩むところである。





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よく分からない写真であるが、中央に道がついていて、山の裏側に回りこむのである。

裏側に行くと鎖で崖に張り付いてよじ登る最後の難関が出てくる。

そういうところは写真に収められるほど余裕がない。






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裏側からよじ登ると到達する場所は不帰二峰の頂上であった。





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たぶん、二峰の裏側の風景だろう。

どこを通過してきたのかさえ記憶にない。






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これから向う隣の山を撮影した。

不帰三峰というのか、南峰というのか名前を忘れてしまった。


二峰頂上で休んでいるときに、オバサンチームが二峰を下りにかかるところだった。

なぜここを下りたいと思うのだろう。

二峰を下って天狗の大すべりを登るなんて、どう考えてもわたしには意欲をそぐ話としか思えない。

おそらく、二峰の崖を登ることを恐れたに違いないと邪推した。






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頂上には南峰という立て札があった記憶がある。

したがって、その先に不帰三峰が存在する順番になっていたと思う。






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南峰を過ぎてしばらくすると小さな無名峰があり、ここが不帰三峰ではないかと勘ぐってよじ登ってみた。

立て札も何もないので、そこは不帰三峰ではなかったが、一応写真を撮った。

こういう道のない山は下りるのが大変だった。





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先へ進む。次は唐松岳へ向う。

ここからは気分が爽快だった。





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見知らぬ山を登る。

立て札がないので、とうとう不帰三峰がどこなのか分からなかった。





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振り返った風景ではないと思う。

もう記憶が薄い。

唐松岳へ向う風景だと思う。





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唐松岳山頂に到着。




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唐松岳から見る五竜岳方面。

尾根の左側が雲、右側が晴れという独特の風景。

この風景をしばらく眺めていた。




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唐松岳山頂は雰囲気ランキングは非常に高い得点であった。

不帰ノ瞼へ向う人がどうだったか聞いてくる。

やはり恐れているのは仕方がない。

わたしは、思ったほどではない、と答えておいた。

そう言ってあげないとその人の登山がつまらなくなるからだった。






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唐松山荘を通過して五竜山荘に向うガレ場は恐ろしく険しかった。

そのため写真はない。

道が平穏になって休息しているところ。

道のりが長かった。

ここから五竜山荘までも長い。

途中、若者に追い越され、女性に追い越された。女性に話しかけようと思ったがタイミングを失った。





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五竜山荘に到着したころは天候が悪く、雨が降り出しそうだった。

テント場の場所を選んでテントを設営したが強風で難儀であった。





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テント内は史上最悪であった。

雨が降り出し強風が吹きつける。

テントは斜めになり片側のシートが内側へ押し寄せてくる。

そのためテント内は非常に狭くなるのは我慢したとしても、風がテントの床下に入り込もうとするのでそこに雨が溜まるのである。

とうとうテント内に浸水してきた。

テントシートとフライシートがピッタリくっ付いて隙間がなくテントの下部が風雨に露出していた。

しまいにはペグが強風で抜き取られてパラシュート状態になった。

巻きつくテントを顔から剥ぎ取りながらテントの外に脱出し、ペグの変わりに石に巻きつけて何とか夜をしのいだ。



この恐ろしいテント内でシュラフにもぐって数時間は眠った。





(続き)と書きたいところだが、続かない。

なぜなら写真がないからである。



翌朝、強風の中でテントを撤収し、山荘前でしばらく突っ立ていた。

山荘から宿泊客が10名ぐらいでてきてみんなで状況を見守った。

風は強く五竜岳は雲の中であった。

大抵の人は五竜を諦めるようである。

中には五竜へ向う勇敢な人も居た。

わたしはと言えば、諦めて下山を決めたわけだが、不帰ノ瞼を超えたことにより目的が達成されているのが大きな理由であった。

五竜岳はまた来てもいいが、あのテント場にテントを張るかどうかは非常に決心がいる。


(完)

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